BLOG橋本健二の建築士ブログ

部屋間の温度差をなくす工夫

温熱向上

ヒートショックという言葉が一般にかなり浸透してきました。

主にはお風呂に入るときの室温の差により血管が対応しきれずに倒れてしまうことです。

ヒートショックを回避するにはまず第一に室温を上げること、次に部屋間の温度差をなくすことです。

我が家では生活の工夫によりエアコン1台で家中温度差のない生活を実現しました。

 

我が家は重量鉄骨造の賃貸マンション約50㎡(約30畳)です。

入居時、リビングに設置されていたのは3.6kwのエアコン。これはカタログによると12畳用と記載されています。

実際リビングは13畳なので十分な性能です。

この1台で寝室や廊下、洗面所、トイレまで約30畳分を暖めてしまおうという試みです。

 

まず行ったのは窓の断熱化。

断熱化といっても賃貸ですので私が選んだのはハニカムスクリーン。

空気層を含んでいますので暖気を外に逃がしにくくなります。

(ハニカムスクリーンの記事はコチラも)

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次に室内ドアの開放です。

引き戸は開け放しに出来るのですが、開き戸は開けておくと邪魔でしょうがありません。

私はドライバーでドアを外し、食器棚の後ろに片付けてしまいました。(かなりビックリされました。)

すると開き戸のストレスから解放され生活動線も向上し、扇風機で気流を作ることでエアコンの暖気は家中に生き渡らすことが出来ました。

 

さらにリビングの大きな掃出窓の下にサーキュレーターを設置して、窓からのコールドドラフト(冷気の下降気流)を強制的に天井面に吹上げます。

そこの天井面にはエアコンがあるので吹上げられた冷たい空気を吸い込み、暖かい空気を送り出してくれます。

これで床面と天井面の温度差も少なくなり快適な状況を保つことが出来ています。

 

最後に換気量と給気量の調整です。

浴室換気扇とトイレ換気扇の強弱、それと給気口の開閉により、家から出ていく暖気と入ってくる寒気をバランスよく調整できるようになりました。

 

結果はというと

エアコンの設定温度22℃で外気温1℃のときでもリビング、寝室、トイレまでも20℃を下回らないようになりました。

(トイレのドアは外さずに、換気扇で暖気を引き込んでいます。)

リビングと寝室の間には玄関ホールがあるのですが、家に帰った時、玄関入った瞬間から暖かいのでおそらくそこも20℃でしょう。

 

もう一度繰り返しますが、生活の工夫により12畳用のエアコン1台で30畳分の家中を暖めています。

もちろん加湿器により湿度50%以上をキープ。

おかげさまで私は真冬でもTシャツ一枚、朝布団から出ても寒くない快適な生活を送っています。

 

エアコンは基本24時間運転をしていますが、晴れた日の10時頃から16時頃までの6時間くらいはエアコンOFFにしても室温は下がりません。

気になるのは電気代ですが、このような生活で12月の電気代は16,000円でした。

風邪もひかずに健康で過ごせることを思うとこの金額は安いと思います。

さらにはこの電気代を太陽光発電で賄えればと思うとZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)も悪くない。

 

今は建物の断熱化と設備の省エネ化でかなり快適な住環境を整えることが出来ます。

しかし、どちらかでも欠けてしまうとそれは叶いません。

自分の住んでいる家の断熱性能を見極め、それに見合う設備を整えることが重要です。

またそれを行ってくれる建築士を選ぶことが重要です。

 

ちなみに外気が0℃になるとそれぞれ室温も1℃下がり20℃を切ってしまいます。

賃貸住宅ではこれが限界かなと感じます。